在宅亭主の旅日記

旅に出たいけどお金がないので近所をぶらぶらしている在宅ワーカーの旅夢想コラムです

デジタルを駆使した野球も結局はアナログがキモ

セイバーメトリクスで強くなったパイレーツ 

 

先日『ビックデータ・ベースボール』という本を図書館で偶然見つけ借りて読んでみた。

野球のアメリメジャーリーグピッツバーグ・パイレーツというお金がなくて弱かったチームが、セイバーメトリクスを駆使して勝ち進んでいったいきさつを解説した本だ。

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セイバーメトリクスというのは野球を統計的に分析する手法のことだ。つまりぱっと見わかるような、ヒットを何本打ったとか、三振をいくつ取ったとかで選手の善し悪しを評価するのではなく、いろんな指標をコンピューターを使ってタテヨコナナメに切り刻んで組み立て直し、新たな視点から選手の価値を捉え直して、同時にチームの戦略をも作り替えようというものだ。

 

ブラピが主演した「マネーボール

 

 この本に出てくるパイレーツの快進撃は2013年のことだが、数字を駆使したチーム運営で最初に話題をさらったのは2000年代初頭のオークランド・アスレチックスだ。そこの名物GM (ゼネラルマネージャー)のビリー・ビーンが、金持ち球団に強奪されたスター選手の後釜を見つけるために頼ったのがセイバーメトリクスなのだ。

 

アスレチックスとビリー・ビーンの話は『マネーボール』というれっきとしたハリウッド映画になっていて、気性が荒く偏屈者のビリー・ビーンの役をブラッド・ピットが好演した。ちなみに私はこの映画が好きでDVDも持っている。なお原作の書籍がちゃんとあって日本語版も出版されているが、野球が好きなら映画よりも興味深い内容だ。

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で、この本『ビックデータ・ベースボール』を読んでの感想はいろいろあるのだが、印象的だったのが従来のセオリーを離れてビッグデータを用いた最新の戦術を採用するのはいいとして、それを監督、コーチ、選手たちに納得してもらうのが大変、という部分だった。

デジタルを駆使した最先端の野球をするのに必要なツールが選手、スタッフとの付き合いや信頼関係というアナログ、というのが逆説的というか、やはり最後はそこか!という具合で、人が社会の中心である限り古今東西変わらない真理なのだと感じた。

 

そういえば『マネーボール』でもGMのビリーが自ら編み出した戦略に沿って獲得した選手を監督が一向に試合に使わないので、どうにかして使わせようと暗闘を繰り広げていた。しまいには業を煮やしたビリーが監督お気に入りの選手を勝手にトレードで放出してしまい、事後報告された監督が口をあんぐりさせるシーンが出てくる。

 

笛吹けど踊らず。人はロボットではないから、納得しないと動かないし、いやいや動いても狙った結果は出ない。いやはや「ワンチーム」とはよくいったものです。

 

さて、次回はセイバーメトリクスがもっと普及すると野球は、またファンはどう変わるのか?日本でセイバーメトリクスを本気でやりだしたらどんなことが起こるのか?といったことを空想したいと思います。

お楽しみに。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。